ちか と つる
「おおだま」と「しずくいし」による、『戦国BASARA』のチカツルについてあれこれ語ったり、二次創作したりするブログです。NLオンリー。腐はどこを探してもありません。
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小ネタです。
書き終わりたいあまりに気ばかり焦って、ちと消化不良になってしまいました。
≪ 求人募集 ≫ しずくいし
書き終わりたいあまりに気ばかり焦って、ちと消化不良になってしまいました。
≪ 求人募集 ≫ しずくいし
いつもの如く伊予河野の浜辺にふらりと現れた元親は、出迎えた鶴姫の顔を見るなり一枚の紙切れを手渡した。
紙いっぱいに踊る豪快な筆跡は、誰かさんが挑戦状と称して頻繁に送ってくるものと非常によく似ている。
「求人?」
「おう、ちっと不足気味でよう」
「……海賊さん」
「あんたンとこにもぜひ協力してもら」
「海賊さん!!」
「なんでえ」
「鶴の字募集って書いてありますけど」
「おうよ」
「あの、これって……」
鶴姫が恐る恐る人差し指を自分に向けると、男は悪びれた風もなくこくりと頷いた。
「なんてこと!?不足だなんて、鶴は物ではありませんよ!」
「ちゃんと“求人”って書いてあんだろ」
「それに募集したってわたしは一人しかいません!」
「だから足りなくて困ってんじゃねーか」
むぐ、と言葉に詰まる。なんだろう、言ってることは無茶苦茶なのに何故か言い返せない。
口をぱくぱくさせて返答にまごついていると、元親はここぞとばかりに丸め込みに掛かってきた。
「ま、そういうわけだからよ。よろしく頼むわ」
「ななな何をどうよろしくするのですか!?」
「もっと土佐に顔出しやがれ!ってこった」
「えっ……それだけ?」
「ふーん、ナニ想像してたんだ?鶴の字のすけべー」
「な、ちょ、違います!お馬鹿さんなこと言わないで下さい!!」
「はっは、照れるな照れるな。何なら嫁に来るかい?」
からかう口調とは裏腹に、海の色した隻眼が柔らかな光を纏ってこちらを見つめてくるから、鶴姫はもう恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなくなる。
背を向けるのは不本意ではあったが、ここはビューンとひとっ飛びで逃げ出すことにした。
――――戦略的撤退ってやつです!
幸い元親がそれ以上追ってくることはなく、無事社に戻ることができたのだが。
うっかり手にしたまま持ってきてしまった紙の処遇に、鶴姫は困り果てた。
公的な威力などなく、取るに足らない落書きのようなものだ。破り捨ててしまえばそれで終わる。
だが、真っ直ぐに自分一人を名指しで挙げたそれを無下にするのはどうにも忍びなくて、睨めっこを続けた末。至った結論は、これまで送られた挑戦状と一緒に文箱にしまい込むことだった。
螺鈿が施された美しい飾り文箱に、後生大事に入れられていることをあの男が知ったら何と言うだろう。
鶴姫自身に自覚がなく、保管されているのが厳重に守られた姫巫女の私室では、他に誰もそのことを知ることはなかったけれど。
紙いっぱいに踊る豪快な筆跡は、誰かさんが挑戦状と称して頻繁に送ってくるものと非常によく似ている。
「求人?」
「おう、ちっと不足気味でよう」
「……海賊さん」
「あんたンとこにもぜひ協力してもら」
「海賊さん!!」
「なんでえ」
「鶴の字募集って書いてありますけど」
「おうよ」
「あの、これって……」
鶴姫が恐る恐る人差し指を自分に向けると、男は悪びれた風もなくこくりと頷いた。
「なんてこと!?不足だなんて、鶴は物ではありませんよ!」
「ちゃんと“求人”って書いてあんだろ」
「それに募集したってわたしは一人しかいません!」
「だから足りなくて困ってんじゃねーか」
むぐ、と言葉に詰まる。なんだろう、言ってることは無茶苦茶なのに何故か言い返せない。
口をぱくぱくさせて返答にまごついていると、元親はここぞとばかりに丸め込みに掛かってきた。
「ま、そういうわけだからよ。よろしく頼むわ」
「ななな何をどうよろしくするのですか!?」
「もっと土佐に顔出しやがれ!ってこった」
「えっ……それだけ?」
「ふーん、ナニ想像してたんだ?鶴の字のすけべー」
「な、ちょ、違います!お馬鹿さんなこと言わないで下さい!!」
「はっは、照れるな照れるな。何なら嫁に来るかい?」
からかう口調とは裏腹に、海の色した隻眼が柔らかな光を纏ってこちらを見つめてくるから、鶴姫はもう恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなくなる。
背を向けるのは不本意ではあったが、ここはビューンとひとっ飛びで逃げ出すことにした。
――――戦略的撤退ってやつです!
幸い元親がそれ以上追ってくることはなく、無事社に戻ることができたのだが。
うっかり手にしたまま持ってきてしまった紙の処遇に、鶴姫は困り果てた。
公的な威力などなく、取るに足らない落書きのようなものだ。破り捨ててしまえばそれで終わる。
だが、真っ直ぐに自分一人を名指しで挙げたそれを無下にするのはどうにも忍びなくて、睨めっこを続けた末。至った結論は、これまで送られた挑戦状と一緒に文箱にしまい込むことだった。
螺鈿が施された美しい飾り文箱に、後生大事に入れられていることをあの男が知ったら何と言うだろう。
鶴姫自身に自覚がなく、保管されているのが厳重に守られた姫巫女の私室では、他に誰もそのことを知ることはなかったけれど。
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