ちか と つる
「おおだま」と「しずくいし」による、『戦国BASARA』のチカツルについてあれこれ語ったり、二次創作したりするブログです。NLオンリー。腐はどこを探してもありません。
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≪ 危ないところだった ≫ おおだま
「お待たせしました!」
「…………」
「何ですかあ」
ふくふくと幸せ顔の鶴が、エスカレーター脇のソファーへ駆け寄ると、元親は長身を丸めてぐったりしていた。
「おま……お目当ては決まってるとか……言ってなかったか……?」
「えええ?」
鶴がちらりと時計を見ると、確かに三時間ほど待たせたようだ。
「試着したり、他にも迷ったり、いろいろあるんですもん」
「……で、なに買った?」
「ニットです! すっごく可愛いのが安くなってて!」
張り切って説明しかけた鶴だが、元親の反応は期待と真逆だった。
「ああ!? ありえねえ、三時間かけていっこだけかよ!」
乙女のバーゲンの戦果を貶めるとは、豪傑で鳴らした元親とはいえ、愚か極まりない。
果たして、鶴はニコニコ顔をビシッと引きつらせた。
「だって、似合わないの買ったって、仕方ないじゃないですかあ!」
強い語調に、元親は目を見張った。
「おい……」
「元親さんはいいですよね! なんでも似合うしスタイルいいし背ぇ高いし足長いし! 気に入ったけどサイズ合うかなとかサイズ合っても似合わないなとか、流行り過ぎないかな外してないかなイタくなってないかなとかとか、ないでしょーっ!」
口を尖らせて立て板に水でまくしたて、小さくじたんだまで踏み出した鶴に、元親は、おそるおそる太い指を一本立てた。
「ちょっと待て、いろいろ突っ込みたいが、とりあえず、いっこ聞くぜ?」
「何ですかっっ」
「お前、似合わない服とかあるの……?」
「は?」
「何着てもいつも可愛いじゃねえか、あんなん」
ワゴンに山積みの服を指差して言う。真顔である。
「えいやって一枚引いたらいいんじゃね?」
そして、いいこと思いついたという顔である。
「な」
「は……」
「うん?」
絶句した鶴の口元に、元親は耳を寄せる。
「恥ずかしいい!!」
「!?」
すっとんきょうな声に、元親がのけぞる。鶴はといえば、トマトみたいに真っ赤である。
「恥ずかしいです元親さん! 駄目です!」
「何が!」
「恥ずかしいから今日のおやつはワリカンです!」
「おま! おごるから買い物付き合え言ったくせに!」
「あー、恥ずかしい恥ずかしい、危ないところでした……!」
「なんでだよ!」
急ぎ足でエスカレーターに向かう鶴を、元親は慌てて追いかけた。
<終わる>
◆後記◆
さらに翌日の昼食中、(今度は)隣のカップルの会話が、一部チカツルだったので、流用してみた!
pixivに陳列するにはあまりにも落書きなのでこちらへ。