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ちか と つる

「おおだま」と「しずくいし」による、『戦国BASARA』のチカツルについてあれこれ語ったり、二次創作したりするブログです。NLオンリー。腐はどこを探してもありません。

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≪ 昼寝 ≫ おおだま


 大きなからだが無防備になると、いとけない童子以上にあどけなく見えることがある。隆々とした体躯に精気をみなぎらせる男が、甲板に手も足も投げ出して寝転がっているようすは、ひどく微笑ましい。
 巨大な武具を脇に立てかけ、堂々と眠る男のごく近くに歩み寄った。床にペタリと尻をつけて座ってみる。男の頭のすぐ上だ。しかし目覚めない。
 たとえば鶴姫が刺客で、たとえば刃物でも握っていれば違っただろう。しかし、この男は、まったく、呆れるほどに気やすく人を寄らせる。いがみあった直後に触れても気に留めない。尋ねるように、見つめてくるだけで。
 物ごころつく前から神の器として頭を下げられて育った鶴姫にとって、他者との距離とは常に自分が決めるものであった。この男のように、無遠慮に無神経に軽々と、許可もなく詰めてくる人間がいるとはついぞ思わなかった。
 つと手を伸ばし、頑固に突っ立った白い髪に触れてみる。いちいち天を衝くそれは、てっきり硬いのかと思いきや、ふにゃふにゃとした柔毛である。小さなけもののふかふかとした背を連想させて心が和む。
 これを言ったら怒るだろうか。鶴姫はこみあげる笑いを堪えて口唇に力をいれた。胸に暖かい気持ちが満ちる。これは、この感じは―――――。
「くすぐってェよ」
 寝転がった姿勢のまま微動だにせず、隻眼が鶴姫を見上げていた。
「あらごめんなさい、こんなところまで通う神経があるとは思わず」
「俺ァ繊細なんだよ」
 ぬけぬけと言い放ち、太い腕をぐんとのばして伸びをする。
「膝枕でもしてくれんのかあ?…ふが―――ああっ、チクショウめ!」
 歯を剥きだして吠えるような豪快なそれは欠伸である。だがまだ起きる気はないらしい。謎の締めの叫びの後、脱力した四肢はそのまま再び船板に落ち着く。
「まあひどい、わたしの膝に穴をあける気ですか?」
「どんだけだよ!」
 軽口の応酬、そしてのどかな沈黙が戻ってくる。鶴姫から離れた隻眼が、空を見上げ、そして細められた。
「いい天気だぜ、鶴の字」
「ですね」
「あっちの海も、船旅日和だ」
 天の紺碧に向けた最後は独白めいていて、だから鶴姫は、そうですね、とだけ呟いた。


<終わる>



◆後記◆
 生まれて初めて書いたチカツル文です。初出はピクシブです
 (→http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=168068)。
 元親の外見をどう描写しようかと試行錯誤のための文でした。ゲーム画面でのアニキの髪が、たんぽぽの綿毛のよーに真っ白くぽわぽわしてるので、立ててるんじゃなくて立っちゃうのではないかとww。
 細かいことを気にしない、大らかで闊達なアニキが大好きです。そこにちょこちょこと接触してくるリスのような鶴ちゃんが大好きです。

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