ちか と つる
「おおだま」と「しずくいし」による、『戦国BASARA』のチカツルについてあれこれ語ったり、二次創作したりするブログです。NLオンリー。腐はどこを探してもありません。
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学パロです。
第三者による何の根拠もない感想に、むむーってなるアニキ。
最初の脳内イメージでは淡く鈍い痛みを抱えたまましっとり終わるはずだったのに、アニキが暴走してこうなりました。
≪ 指定席 ≫ しずくいし
第三者による何の根拠もない感想に、むむーってなるアニキ。
最初の脳内イメージでは淡く鈍い痛みを抱えたまましっとり終わるはずだったのに、アニキが暴走してこうなりました。
≪ 指定席 ≫ しずくいし
放課後、窓から差し込む太陽の光が白から赤みを帯び始めた頃。
元親は整然と居並ぶ本棚から適当な本を抜き出して、手近な椅子にぎこちなく腰掛けた。
図書室は苦手だ。
古い紙とインクの匂いは嫌いではないが、人がいるのに静まり返った空間というのがどうにも性に合わない。
早く終わらねえかなと視線を送ってみるものの、彼の待ち人はこちらの気も知らずにカウンターの向こうで黙々と作業に没頭している。
「ね、あのカウンターにいる二人」
そんな中、小さな囁きが席を一つ飛ばした右隣から聞こえて、元親は顔の向きは変えずに意識だけをそちらへ移した。
カウンターの二人とは、今まさに彼に待ち惚けを食わせている張本人である鶴姫と、その隣で何かの書類に目を通している細身の銀髪の男――――元親の友人でもある石田三成に他ならない。
「図書委員の人?……あの二人がどうかしたの?」
「なんかさ、お似合いじゃない?」
「え、知ってる人?」
「んーん、知らないけど。何か、見た感じ?合ってるなーって」
――――なんだそりゃ。
「あー……なんとなく分かるかも」
「でしょ?」
――――分かるのかよ!
他愛のない女子の会話。そこには恐らく深い意味などないのだろう。
分かってはいるけれど、胸の奥にぽつりと何かが降った。
二人のことはよく知っている。
だが元親の知る限り、鶴姫と三成は普段あまり親交はないはずだ。今も特段仲睦まじい様子を見せているわけでもなく、時折一言二言言葉を交わす以外は、ただ淡々と仕事をこなしている。
隣にいる、それだけ。
けれど、何の先入観も持たない第三者からはお似合いに見えるという。
単に見た目だけの話だろうか。それとも自分には見えない、二人の醸し出す特別な空気感があるのだろうか。
――――面白くねえな。
ギィ、と椅子を引く音を高らかに響かせ、元親は立ち上がった。
視線が集中するのを感じながら、構わず机の間を大股でぐんぐん進む。その勢いのままカウンター内に侵入して空いた椅子にどっかと腰掛けると、呆気に取られていた鶴姫の眉が見る間に釣り上がっていった。
「な……何してるんですか貴方は!」
「気にすんない、大人しくしてっからよ」
「そういう問題じゃありません!」
「別にいいじゃねえか、あっちで待つのもここで待つのも変わんねーよ」
なぁ?と三成に同意を求めると、勝手にしろと返ってきた。あとはこちらに目もくれず、返却された本のチェック作業に集中している。相変わらず興味がないことにはとことん無頓着な男だ。
「いいってよ」
「むー」
味方を得られず不満顔である。
尚も言い募ろうとする鶴姫だったが、開きかけた口を不意にきゅっと結んで渋面を作った。あまり騒いでは他の人の迷惑になると思い当たったようだ。
本当に渋々といった体で引き下がる鶴姫を、元親はカウンターに肘をつき覗き込むようにして眺めた。こちらを見ないように意識しているのが丸分かりで可笑しい。ぷくーと膨らんだ柔らかな頬を突きたい衝動に駆られるが、これ以上怒らせては追い出されかねないのでやめておいた。それでは元も子もない。
――――これでどうだコノヤロー、誰が鶴の字にお似合いか、もっぺん考えやがれってんだ!
太陽はいよいよ西へ傾き、赤く染まった雲が夕焼け空に薄く棚引いている。
影はいつしか図書室の半分ほどを覆い、誰かが電灯のスイッチを押した。
時間差で灯っていく光を追って後方へと視線を移すと、先ほどの女子二人と目が合う。途端に顔を寄せ合い、弾かれたようにひそひそと何事かを話し出す様子に、元親は満足げに笑みを漏らした。
元親は整然と居並ぶ本棚から適当な本を抜き出して、手近な椅子にぎこちなく腰掛けた。
図書室は苦手だ。
古い紙とインクの匂いは嫌いではないが、人がいるのに静まり返った空間というのがどうにも性に合わない。
早く終わらねえかなと視線を送ってみるものの、彼の待ち人はこちらの気も知らずにカウンターの向こうで黙々と作業に没頭している。
「ね、あのカウンターにいる二人」
そんな中、小さな囁きが席を一つ飛ばした右隣から聞こえて、元親は顔の向きは変えずに意識だけをそちらへ移した。
カウンターの二人とは、今まさに彼に待ち惚けを食わせている張本人である鶴姫と、その隣で何かの書類に目を通している細身の銀髪の男――――元親の友人でもある石田三成に他ならない。
「図書委員の人?……あの二人がどうかしたの?」
「なんかさ、お似合いじゃない?」
「え、知ってる人?」
「んーん、知らないけど。何か、見た感じ?合ってるなーって」
――――なんだそりゃ。
「あー……なんとなく分かるかも」
「でしょ?」
――――分かるのかよ!
他愛のない女子の会話。そこには恐らく深い意味などないのだろう。
分かってはいるけれど、胸の奥にぽつりと何かが降った。
二人のことはよく知っている。
だが元親の知る限り、鶴姫と三成は普段あまり親交はないはずだ。今も特段仲睦まじい様子を見せているわけでもなく、時折一言二言言葉を交わす以外は、ただ淡々と仕事をこなしている。
隣にいる、それだけ。
けれど、何の先入観も持たない第三者からはお似合いに見えるという。
単に見た目だけの話だろうか。それとも自分には見えない、二人の醸し出す特別な空気感があるのだろうか。
――――面白くねえな。
ギィ、と椅子を引く音を高らかに響かせ、元親は立ち上がった。
視線が集中するのを感じながら、構わず机の間を大股でぐんぐん進む。その勢いのままカウンター内に侵入して空いた椅子にどっかと腰掛けると、呆気に取られていた鶴姫の眉が見る間に釣り上がっていった。
「な……何してるんですか貴方は!」
「気にすんない、大人しくしてっからよ」
「そういう問題じゃありません!」
「別にいいじゃねえか、あっちで待つのもここで待つのも変わんねーよ」
なぁ?と三成に同意を求めると、勝手にしろと返ってきた。あとはこちらに目もくれず、返却された本のチェック作業に集中している。相変わらず興味がないことにはとことん無頓着な男だ。
「いいってよ」
「むー」
味方を得られず不満顔である。
尚も言い募ろうとする鶴姫だったが、開きかけた口を不意にきゅっと結んで渋面を作った。あまり騒いでは他の人の迷惑になると思い当たったようだ。
本当に渋々といった体で引き下がる鶴姫を、元親はカウンターに肘をつき覗き込むようにして眺めた。こちらを見ないように意識しているのが丸分かりで可笑しい。ぷくーと膨らんだ柔らかな頬を突きたい衝動に駆られるが、これ以上怒らせては追い出されかねないのでやめておいた。それでは元も子もない。
――――これでどうだコノヤロー、誰が鶴の字にお似合いか、もっぺん考えやがれってんだ!
太陽はいよいよ西へ傾き、赤く染まった雲が夕焼け空に薄く棚引いている。
影はいつしか図書室の半分ほどを覆い、誰かが電灯のスイッチを押した。
時間差で灯っていく光を追って後方へと視線を移すと、先ほどの女子二人と目が合う。途端に顔を寄せ合い、弾かれたようにひそひそと何事かを話し出す様子に、元親は満足げに笑みを漏らした。
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