ちか と つる
「おおだま」と「しずくいし」による、『戦国BASARA』のチカツルについてあれこれ語ったり、二次創作したりするブログです。NLオンリー。腐はどこを探してもありません。
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かなり前にやってた某携帯CMのパロです。
アニキと大谷さんがひたすら喋ってます。鶴ちゃん出てないけどチカツルのつもりです。
≪ 携帯電話と日記帳 ≫ しずくいし
アニキと大谷さんがひたすら喋ってます。鶴ちゃん出てないけどチカツルのつもりです。
≪ 携帯電話と日記帳 ≫ しずくいし
乱暴とも言うべき極彩色に囲まれた部屋で、男が一人、アニマル柄のソファに腰掛けている。
丸いガラステーブルにはうず高く重ねて作られたサンドイッチの皿と乱雑に置かれた雑誌、携帯電話。その黒い無骨な携帯電話が振動して着信を伝えたのは、男――――元親が朝昼兼用のサンドイッチにかぶりつこうと口を開けた瞬間だった。
電子パネルには、包帯で顔を覆った男の画像と「大谷」の二文字。
「おう、あんたが電話してくるたぁ珍しいな。どうかしたか?」
『ぬしの部屋にわれの携帯が落ちておらぬか?』
「あァ?」
『雑誌の間に挟まっておるやもしれぬ』
開口一番の問いかけに眉を顰めるも、とりあえず言われるままにテーブルの上に手を伸ばした。
落としたとすれば、先日、知り合い連中が大勢でこの部屋に押し掛けた時だろうか。
雑誌の間、ついでにサンドイッチの間もペラペラとめくってみるが、ハムとレタスとチーズがあるばかりで、携帯など当然ない。
『あったか?』
「ねぇなー」
『日記の間は?』
次の要求に、少し離れたキャビネットへと移動する。
「いや、日記もねぇな……え!?」
日記というにはお粗末な大学ノートをめくりながら、元親は一気に血の気が引くのを感じた。
そこに日付と共にサインペンででかでかと書き殴られていたのは、「鶴の字最高!!」の文字。その下に若干小さな字で「お守り買った」「おみくじ引いた」「お祓いしてる鶴の字も可愛いぜ!」などと書かれている以外は、ほぼ毎日同じ内容が続いている。
『あったか?』
「ちょ、これ見たのか!?」
『見てなどおらぬわ』
「……ほんとかよ?」
『開けはしたが、その時われは目を瞑っておったゆえな』
「おう……ならいいんだけどよ」
大谷のにやけた口調は気になるが、一旦引き下がる。
『通気口の中はどうだ?』
次は部屋の隅へ。指すら入るかどうか怪しい隙間に手を翳し、
「いやこれ入るか?」
『万が一ということもあろ』
「てか万が一日記見てねぇよな!?」
やはり疑念は消えていなかった。
『見ておらぬわ、ぬしもしつこい男よ。それよりトースターは?』
「いやいやねぇだろ」
どんどんおかしくなる捜索場所に苦笑しつつ、一応確認してやるところは付き合いが良いというか何というか。
『ぬしの口の中は?』
「あのな、いくら何でも……ん!?」
『おお、あったか?』
しかしこれにはさすがに元親も呆れ果て、このお遊びじみたやり取りを終わらせようとしたのだが――――突如口の中に異物感を感じて、声を上げた。
慌てて指で引っ張り出すと、口から出てきたのはなんとミニチュア万国旗。次から次へと現れるそれは、全長30センチにも及んだ。
「うおおなんだこれ!?」
『ヒヒッ、驚いたか?』
マジシャンを生業とする大谷は、時折こういう説明の付かないことをいとも簡単にやってのける。
大体、彼は移動手段からして既におかしいのだ。深く考えると恐ろしいので、仲間内では皆努めて意識外に追いやっているが。
元親は電話越しの楽しげな声には無視を決め込み、唾液塗れの万国旗をティッシュに包んでゴミ箱に投げ入れた。
『下駄箱の後ろの隙間も確認しやれ』
「ここは入んねーだろ……」
『われの携帯は薄いゆえ、かようなところにも入るやもしれぬ』
依然、ゲームは続行中らしい。
あまりにいけしゃあしゃあと言い放つので、かえって腹も立たない。かと言って真面目に探す気も更々なく、適当に探って終わらせるつもりで、元親は下駄箱と壁の僅かな隙間に右手を突っ込んだ。
その時、少々バランスを崩し、よろめいた体と共に右手が隙間の奥まで入り込む。ぐっと力を入れた拍子にどういうわけか手首に着けた厳ついブレスレットが何かにはまり込んで、身動きが取れなくなった。
「うおっ、やべぇ抜けねー!!ちょっ、マジで!!」
元親の絶叫が耳を劈き、大谷が顔を顰めて手にしたものを耳から話す。視界に入ったそれをまじまじと見つめて、大谷は抑揚のない声でしれっと元親に告げた。
『おお、あった。あったわ』
「だーっ!」
『聞こえておるか?』
しかしそれどころではない元親に返事をする余裕はない。下駄箱を動かそうにも、作りつけのそれは軋むばかりでびくともしないし、腕を引っ張っても押してみてもまるで駄目。
ひとしきり試行錯誤を繰り返し、疲れてその場で脱力し大きく息を吐いたその時、ふと気が付いた。
「あれ……大谷あんた、靴忘れてねーか?」
玄関に無造作に置かれた、元親愛用のカジュアルなデザインの靴達。それに混じって、見覚えのある綺麗に磨かれた上品な革靴が一足、ぽつんとそこに鎮座していた。
元親の指摘を受けて、大谷が己の足元を注視する。
『ヤレ、これはうっかり。裸足であったわ』
「今までどうしてたんだよ!?」
『輿で動いていると大して困らぬのよ』
「あーあーあー聞きたくねー聞きたくねー!」
地球の重力を完全に無視したアレを思い出し、元親は脳内から追いやるように頭を振った。
『長曾我部、ちと靴を届けてくれぬか』
「ンなこと言っても、俺今動けねーしよぉ」
『ならば誰かに電話しやれ』
「電話ったって誰に」
『ホレ、お祓い姿が可愛い神社の娘とやらがよかろ』
動きが止まる思考が止まる時が止まる。
「………やっぱ日記見てんじゃねーか!!」
丸いガラステーブルにはうず高く重ねて作られたサンドイッチの皿と乱雑に置かれた雑誌、携帯電話。その黒い無骨な携帯電話が振動して着信を伝えたのは、男――――元親が朝昼兼用のサンドイッチにかぶりつこうと口を開けた瞬間だった。
電子パネルには、包帯で顔を覆った男の画像と「大谷」の二文字。
「おう、あんたが電話してくるたぁ珍しいな。どうかしたか?」
『ぬしの部屋にわれの携帯が落ちておらぬか?』
「あァ?」
『雑誌の間に挟まっておるやもしれぬ』
開口一番の問いかけに眉を顰めるも、とりあえず言われるままにテーブルの上に手を伸ばした。
落としたとすれば、先日、知り合い連中が大勢でこの部屋に押し掛けた時だろうか。
雑誌の間、ついでにサンドイッチの間もペラペラとめくってみるが、ハムとレタスとチーズがあるばかりで、携帯など当然ない。
『あったか?』
「ねぇなー」
『日記の間は?』
次の要求に、少し離れたキャビネットへと移動する。
「いや、日記もねぇな……え!?」
日記というにはお粗末な大学ノートをめくりながら、元親は一気に血の気が引くのを感じた。
そこに日付と共にサインペンででかでかと書き殴られていたのは、「鶴の字最高!!」の文字。その下に若干小さな字で「お守り買った」「おみくじ引いた」「お祓いしてる鶴の字も可愛いぜ!」などと書かれている以外は、ほぼ毎日同じ内容が続いている。
『あったか?』
「ちょ、これ見たのか!?」
『見てなどおらぬわ』
「……ほんとかよ?」
『開けはしたが、その時われは目を瞑っておったゆえな』
「おう……ならいいんだけどよ」
大谷のにやけた口調は気になるが、一旦引き下がる。
『通気口の中はどうだ?』
次は部屋の隅へ。指すら入るかどうか怪しい隙間に手を翳し、
「いやこれ入るか?」
『万が一ということもあろ』
「てか万が一日記見てねぇよな!?」
やはり疑念は消えていなかった。
『見ておらぬわ、ぬしもしつこい男よ。それよりトースターは?』
「いやいやねぇだろ」
どんどんおかしくなる捜索場所に苦笑しつつ、一応確認してやるところは付き合いが良いというか何というか。
『ぬしの口の中は?』
「あのな、いくら何でも……ん!?」
『おお、あったか?』
しかしこれにはさすがに元親も呆れ果て、このお遊びじみたやり取りを終わらせようとしたのだが――――突如口の中に異物感を感じて、声を上げた。
慌てて指で引っ張り出すと、口から出てきたのはなんとミニチュア万国旗。次から次へと現れるそれは、全長30センチにも及んだ。
「うおおなんだこれ!?」
『ヒヒッ、驚いたか?』
マジシャンを生業とする大谷は、時折こういう説明の付かないことをいとも簡単にやってのける。
大体、彼は移動手段からして既におかしいのだ。深く考えると恐ろしいので、仲間内では皆努めて意識外に追いやっているが。
元親は電話越しの楽しげな声には無視を決め込み、唾液塗れの万国旗をティッシュに包んでゴミ箱に投げ入れた。
『下駄箱の後ろの隙間も確認しやれ』
「ここは入んねーだろ……」
『われの携帯は薄いゆえ、かようなところにも入るやもしれぬ』
依然、ゲームは続行中らしい。
あまりにいけしゃあしゃあと言い放つので、かえって腹も立たない。かと言って真面目に探す気も更々なく、適当に探って終わらせるつもりで、元親は下駄箱と壁の僅かな隙間に右手を突っ込んだ。
その時、少々バランスを崩し、よろめいた体と共に右手が隙間の奥まで入り込む。ぐっと力を入れた拍子にどういうわけか手首に着けた厳ついブレスレットが何かにはまり込んで、身動きが取れなくなった。
「うおっ、やべぇ抜けねー!!ちょっ、マジで!!」
元親の絶叫が耳を劈き、大谷が顔を顰めて手にしたものを耳から話す。視界に入ったそれをまじまじと見つめて、大谷は抑揚のない声でしれっと元親に告げた。
『おお、あった。あったわ』
「だーっ!」
『聞こえておるか?』
しかしそれどころではない元親に返事をする余裕はない。下駄箱を動かそうにも、作りつけのそれは軋むばかりでびくともしないし、腕を引っ張っても押してみてもまるで駄目。
ひとしきり試行錯誤を繰り返し、疲れてその場で脱力し大きく息を吐いたその時、ふと気が付いた。
「あれ……大谷あんた、靴忘れてねーか?」
玄関に無造作に置かれた、元親愛用のカジュアルなデザインの靴達。それに混じって、見覚えのある綺麗に磨かれた上品な革靴が一足、ぽつんとそこに鎮座していた。
元親の指摘を受けて、大谷が己の足元を注視する。
『ヤレ、これはうっかり。裸足であったわ』
「今までどうしてたんだよ!?」
『輿で動いていると大して困らぬのよ』
「あーあーあー聞きたくねー聞きたくねー!」
地球の重力を完全に無視したアレを思い出し、元親は脳内から追いやるように頭を振った。
『長曾我部、ちと靴を届けてくれぬか』
「ンなこと言っても、俺今動けねーしよぉ」
『ならば誰かに電話しやれ』
「電話ったって誰に」
『ホレ、お祓い姿が可愛い神社の娘とやらがよかろ』
動きが止まる思考が止まる時が止まる。
「………やっぱ日記見てんじゃねーか!!」
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